福岡の相続と家族信託の専門コンサルタント、香椎相続不動産事務所です。
当事務所へご相談を頂くご相談の内容を振り返ってみると、相続の際に財産を残す人から、残される人への思いが伝わらないと、遺産分割でもめてしまう可能性が非常に高いです。
遺産分割でもめてしまえば、その後の相続手続きがスムーズに進まない可能性が高く、時間がかかることによって、受けられる相続税に関する特例などが受けられなくなる可能性もあり、経済的な損失もありますが、相続人間の遺産争いや感情的なすれ違いは、金銭以上に代えがたい損失として残る可能性があります。
相続によって、財産以上のものを失う可能性があります。
当事務所の提携する法律関係の士業関係者は、「これからの相続は財産の有無に関係なく、遺言が問題解決で非常に効果的」だと、口を揃えて言います。
今回は、遺言によって「円満相続」が実現する理由と、遺言のポイントを開設します。
遺言で「円満相続」が実現できる
のちの世代に引き継ぐ相続財産の分け方を、相続人へ指定しておくことは非常に大事です。経験上、残された人が何とかするだろうという考えで、話がまとまることはそうありませんし、やはり財産を残す人が、意思を伝えておかないと、残された人に迷いや欲を持たせてしまう可能性があり、それこそが相続問題の種となり芽となる可能性があるのです。
そのような可能性があるからこそ、残された相続人が迷わず、そして争うことのないように「遺言」を作成し、自分の意思を明確にして残しておくことがひつようです。
遺言は、大きく分けて自筆証書遺言と、公正証書遺言があります。自筆証書遺言は、家庭裁判所での検認が必要であること、また遺言の記載内容で無効になる可能性も高く、また自筆証書遺言の有無も、残された人には分からないことから、自筆証書遺言を残す人は多くありません。また公正証書遺言は、公証人が入ることにより、遺言の内容の不備のチェックはしてもらえますが、やはり公証人への費用など自筆証書遺言より費用がかかることから、こちらも公正証書遺言を残す人も多くありません。
このような現状を国も問題視しており、令和2年7月10日(金)より「法務局における自筆証書遺言に係る遺言書を保管する制度」がはじまります。こちらは遺言の記載内容のチェックをした上で、自筆証書を画像データ化して、法務局で保管をしてもらえ、相続開始後も検認不要で自筆証書遺言を相続人は確認出来ることが出来ます。
費用については、今のところ不要ですが、法務省も相続問題の現状を踏まえた上での制度化なので、公正証書遺言の作成より、費用は安価になるんではないかと当事務所は推測しています。
また遺言執行者を決めておくことも必要です。相続の手続きは相続人全員で進めますが、遺言執行者を決めておかないと、金融機関によっては、相続人全員による「相続届出書」の提出が必要になるケースもあります。何かと相続の手続きをスムーズに進めるため、遺言執行者を決めておくことも検討しておきましょう。
また遺言は具体的な遺産の分割方法だけでなく、付言事項で感謝の思いや、どうしてこのような遺産の分割方法に至った思いや願いなどを残すことが出来ます。残された人たちを思う愛情に_
遺言があってももめる話
円満な相続にするには、相続人で争わないことが大前提です。多くの相続人は、円満に話し合いができるのであれば、多少の譲歩をしても良いと思うのが本音です。遺産分割協議の心構えとして、ここまでもらえたら大満足、ここまでもらえたら満足、これだけだったとしても仕方ないの3つのラインを決めておくことをお勧めしています。これだけだったとしても仕方ないのラインで終わることは、経験上2割くらいじゃないでしょうか、ここまでの最低ラインを決めておきましょう。
しかしながら、そういう気持ちになれないようなケースがあります。
たとえば、相続人である兄弟から、遺言があることを教えてもらえなかったりして、後からそのことを知ると疑心暗鬼になり、心理的な大きな負担は、後の遺産分割協議がスムーズにいかなかったりします。
他に、多少の遺産の偏りは仕方ないとしても、分割する遺産の内容が非常に偏ったりしていると、やはり不信感につながったりします。また遺言の中に自分に対して記載がないようなことがあると、やはり遺産分割協議が進まないのが容易に想像できます。
また相続する財産のすべてが明らかになってないと、やはりもめる種になりますので、遺言を残す方は、「すべての財産を自身で理解して」「誰にどのように残すのか」そして、その思いに至ったことを付言事項として残しておきましょう。
遺言を残していることを相続人に明らかにしておくこと
遺言が残っていれば、円満な相続ができると思いがちですが、現実には「遺言があったkとでもめてしまう」ことも多々あります。
そうした場合は、大抵、遺言の存在を被相続人が亡くなるまで相続人の一部しか知らなかったとか、遺言の遺産分割の内容が特定の人に偏り過ぎていたりします。
たとえば、相続が発生した際に、同居する長男が亡くなった父親の遺言書を出してきた。検認してみたものの、遺言書は“長男に全財産を相続させる”という内容で、他の相続人は遺言書の存在は一切知らされていなかった。そしてきわめつけで長男以外は名前もない、という内容です。
こうなると皆さんが兄弟だとしても、この遺言は長男が財産を独り占めしたいがために、父親を唆して遺言を書かせたと疑いたくなるでしょう。生前に口頭でも父親から別の分割方法を聞いていたり、預貯金は皆で分けるよう言われていたりしたら、もう長男が何を言っても誰も長男のいうこと信用しなくなります。
こういった現状を踏まえて、遺言書を残しておくことは相続人全員に明らかにしておくことをお勧めします。そして、付言事項に合わせて遺言の内容まで伝えておくことが理想です。
こうして遺言をしっかり残しておくことが、円満な相続となり被相続人なきあとも残された相続人が仲良く過ごせるものと当事務所は考えます。
最期にもう一度記しますが、円満な相続の準備が出来ずに亡くなると、相続人が戸惑い無用な争いをする可能性が残るだけでなく、せっかくの財産を残した被相続人自身が悪く言われたりしますよ。
相続や家族信託についてお困りのことがあれば、福岡香椎相続不動産事務所へお気軽にお問合せください。